「こんな薬品すらドーピングに引っかかるの?」 ドーピングを正しく理解して、悔いのないアスリート人生を

アスリートのみなさん。


「ドーピングなんて、自分には関係ない」って思っていませんか?「オリンピック選手やそこを目指すトップ級の選手だけの話であって、アマチュア選手の自分の知ったことではない」って決めつけていませんか?


じつは、関係あるんです。


ドーピングはアマチュア選手はもちろん、競技種目に別け隔てなく平等に抜き打ちチェックされる可能性があります。いつの日か抜き打ちチェックで後悔しないために、ドーピングチェックについて正しく理解しておきましょう。


今回は、スポーツ選手のドーピングに関する相談、助言、教育及び指導等をされていらっしゃる、株式会社アトラクの遠藤先生にぶっちゃけたお話を聞かせていただきました。


株式会社アトラク 遠藤先生

国内のドーピング検査はプロ、アマチュア合わせてざっと年間5,000件

ドーピング検査は抜き打ちであると聞きますが、実際はどうなんですか?

アスリートのレベルによって検査のやり方が違ったりするんです。最近話題になった問題でクルム伊達さんが夜中に抜き打ちのドーピング検査で寝ているときに起こされたと激怒しているニュースがありましたよね。


夜の10時にやってきて、1時間以上拘束されたって話ですね。

国際クラスのアスリートには予め毎日抜き打ち検査に対応可能な時間を事前に申告しています。国内のプロ選手などが該当する通常の検査では、くじ引きでドーピング検査を行う選手を選んで、試合の直後に検査しているケースが多いですね。


なるほど。ちなみに年間、何人くらいのアスリートがドーピング検査を受けているんですか?

JADA(日本アンチドーピング機構)では、プロ、アマチュアなど年間で5,000件くらい行われていますよ。



ドーピング検査が多いのは、タイムが結果に反映されやすり競技

ドーピング検査の対象になる割合って競技によって異なるんですか?たとえば、陸上は多いけどサッカーは少なめとか。

ドーピング検査が多い競技はありますよ。多いのは陸上、水泳、ウェイトリフティングなど。ドーピングの効果が直接的にタイムや試合結果に反映されやすい競技は、ドーピング検査が比較的多くなる傾向があります。


ドーピング検査を受ける選手は平等に選ばれるのでしょうか?

はい、基本的にはくじ引きで平等に決まります。



え、こんなものまでドーピングにひっかかる!?

ドーピングというと、医薬品やプロテインとかをイメージしますが、「こんなものもドーピングにひっかかるの?」といったものはありますか?

昔、話題になったのは、大学ラグビーの選手が貫録をつけようとしてヒゲを生やす塗り薬を利用したところ、ドーピングで禁止されている成分が含まれており、検査にひっかかってしまったことがありました。


そんなことでドーピング検査にひっかってしまったら、せっかく積み上げた練習がムダになってしまいますね・・・。まさかとは思いますが、検査をすり抜ける裏技みたいなものはあったりしますか?

ドーピング検査を潜り抜けることは極めて困難ですよ。例でいうと、50メートルプールにドーピングで禁止されている薬品を1滴たらしただけでも、検知することができるほどの現在の検査は精度が高いですから。


それはすごいですね!


株式会社アトラク 遠藤先生


意図せずしてしまうドーピング

お答えずらいかもしれませんが、ドーピング違反が多い競技ってありますか?

ボディービルディングはドーピング違反が多いと思います。これは故意的なものではなく、まじめにやった結果、引っかかってしまうというケースです。どういうことかというと、ボディービルダーはサプリメントを大量に飲むのですが、安価な海外のサプリメントを利用しているケースが多いんですね。海外のサプリメントにはドーピング違反となるものが多いといったことが理由だと考えられます。


なるほど、やはり故意的にドーピングしている選手は少ない、と

はい。アマチュアの選手は自身で自己管理しなくてはならないけれど、ドーピングの知識が乏しいために、ドーピング検査で引っかかってしまうケースが多いのです。ちなみにオリンピック強化選手は国立スポーツ科学センター(JISS)で3度の食事や薬が全て管理されているので、ドーピング違反となるケースはほぼありません。



スポーツファーマシストへの問い合わせはどのくらいあるの?

ドーピングってルールが頻繁に変わったりして、業界ルールを追いかけるのがたいへんですよね?困ったとき、どこの誰に相談すればいいですか?

スポーツファーマシストという、最新のアンチ・ドーピング規則に関する知識と情報を持った専門家が、薬の正しい使い方の指導などを行う専門家がいます。全国のスポーツファーマシストを検索できるデータベースもあるので、利用してみてください。


スポーツファーマシストへの問い合わせってどのくらいあるんですか?

東京国体では698件(アスリート等583件、医療従事者115件)の相談がきたようです。基本的には飲む前に相談してくるケースが圧倒的に多いんですが、なかには薬を飲んでしまった事後報告で、どうしましょうといった相談もあったようです。なお、平成25年の東京国体の際の国体総検査数は248件ありました。


ドーピングにかかわる貴重なお話、ありがとうございました!





取材を終えて

ドーピングの世界は薬剤にかかわる深い知識が必要なので、アスリート個人レベルですべてを把握することは極めて困難。

アスリートに必要なのは、ドーピング違反薬剤を完璧に覚えることではなく、相談できる人や最新情報を入手する手段を知っておくことでしょう。いつ検査対象になってもいいよう、ドーピングのことも頭の片隅に留めておいてください。



株式会社アトラク

取材協力

株式会社アトラク

〒162-0837 東京都新宿区納戸町13サコールビル1F

遠藤 敦様