【東城翔也のポルトガルリーグ奮闘記- 第2回】日本人は足元の技術は高いけど、球際の厳しさが足りない

アスリートストーリーズでサポートしている東城翔也選手は、現在ポルトガル1部リーグのマリティモ(http://www.csmaritimo.pt/)に所属しています。2015年2月に新加入したばかり。それまでは、ブラジルリオデジャネイロ州1部フリブルゲンセでプレーしていました。

アスリートストーリーズは、東城翔也選手を長期にわたって継続的に取材し続けます。
ポルトガルでプロとしてプレーするとはどういうことか?これまでのブラジルでの生活は?日本サッカーとの違い等、現役プロの話を臨場感たっぷりにお伝えします。
第2回も、引き続きブラジルに渡った経緯とポルトガルに移籍することになった話を中心に聞いてみました。
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いつからプロになりたいって思ってた?

中高生の頃から、ヨーロッパでプロになりたいって気持ちがありました。ただいきなりヨーロッパでプロは厳しいので、「まずはサッカーの原点であるブラジルで修行しろ」と父に言われました。

こう言うと、ブラジルでプロになるのがカンタンって思われるかもしれないけど、まったくそうじゃないです。ブラジル、とくに最高峰の1部リーグでレギュラーのポジションを取るのは猛烈に厳しい壁を突破しなくちゃならない。ブラジル人でさえ辿り着くのが難しい場所なので、そこを日本人が目指すという意味では、ある意味ヨーロッパでプロになるより困難かも。

言葉では苦労した?

ブラジルに渡った当初は、もちろんチンプンカンプンですよ。でも学校に行くヒマはなかったです。参考書だけ「これで勉強しろ」って渡されて、あとは独学です(笑)。現地の日本人に質問して確認したり、サッカーの合間に学びました。ただ、独学なので、話す、聴くはできますが、いまだに文章は書けません。携帯などでメッセージをやりとりしているうちに、「あ、あの単語はこういうスペルなのか」って後付で学んでいくかんじでしたね。我ながらワイルドな勉強法だったと思います(笑)。

ポルトガルも同じポルトガル語を話すんですけど、発音がぜんぜん違うので、最初こっちに来たときは、聞き取りに苦労しました。というか、今も苦労しています。同じポルトガル語とはいえど、両国のポルトガル語はかなり異なりますね...。


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ポルトガルのサッカースタイルは?

レベルはすごく高いです。攻守の切り替えは速いし、パワーもすごい。スペイン、ドイツほどではないですが、そのすぐ次に来るレベルでしょうね。日本でプロになったことはないですが、日本サッカーよりも確実にレベルは高いと思います。

さっきも話しましたが、ブラジルはポルトガルとも違ってゆったりペースなんですね。どっちが良い悪いって話ではなく、スタイルの違いです。トヨタカップでブラジルのチャンプがヨーロッパチャンプに勝ってしまうことはここ数年よくありますが、理由は適応能力の高さだと思っています。相手のスタイルに合わせて、戦い方を試合中に変えることができるんです。

たとえば、J1上位のチームがブラジル1部と戦ったとして、ゆったりしたパス回しをさせないように前から激しくプレスにいったとします。ブラジルチームは最初は勢いのあるプレスに戸惑うかもしれないけど、闘いながら適応してしまえるんです。

長めのボールで前線にあずけてしまおうとか、リズム良いパス回しでプレスをかわそうとか、いくつもの戦い方を切り替えられるんですね。日本ではなかなかマネのできない芸当だと思います。

日本のサッカーの良いところ、海外に負けていないところ

日本人の技術力は高いです。基礎ができているし、パス回しは海外でも通用します。でも、一人で海外挑戦したとき、それができるかとなると厳しいですよね。チームだと力が発揮できるけど、単独で能力を示せないと海外では認められにくい。

逆に日本人に足りないのは1対1の強さ。球際の厳しさはブラジルと比べると全然甘い。ブラジルの迫力はすごいですよ。

げんを担ぐことはある?スランプに陥ったら?

一切気にしないですね。ソックスは左から履くとか、儀式的なこともやりません。試合でピッチに入る前に、キリスト教徒でもないのに胸の前で十字を切るマネはやってます(笑)。

調子が落ちているなーって思ったら、サッカーのプレー中であれば無我夢中でボールに絡むようにします。オフの日はサッカーのことを忘れて、息抜きをしてみたり。軽く走ったり。ブラジル人のチームメイトと外に出かけたり......。とはいえ、ポルトガルには日本のように遊ぶ場所は少ないですが。

ポルトガルの食事ってどんな?

肉中心です。串に肉が刺さっている、BBQ的な肉料理をよく食べますね。そればかりだと偏るので、自炊もします。レシピはネットで調べればすぐ手に入るし。好きな日本食はカレーとシチューですね。カレーが日本食かどうかは置いておいて(笑)。

トマトが好きなので、サラダはよく食べます。カップ麺のようなジャンク系は基本食べません。ちなみにチームからは食事内容の指示は全然ないんですよ。ラテンのノリなんですかね?ブラジル時代も肉中心でしたね。あとは煮込んだ豆とサラダ。それの繰り返し。日本のようにバラエティ豊かな食事メニューはなくって、単調です。

衛生面やインフラの差はあった?

やはり、日本は治安面も衛生面も素晴らしいと思います。ブラジルは何もかもひどい(笑)。治安悪いし、ファベーラには裸足で歩いている子供も普通にいるし、高速道路上で物売りがウロウロしていたりもする。知られていないですが、ブラジルのトイレではトイレットペーパーを便器に流してはダメなんです。詰まるんですよ。それくらいインフラが整備されていない。汚い話ですが、お尻を拭いた紙は、トイレ内のゴミ箱に捨てる仕組みです。汚いですが、それが当たり前なんです。

目指している選手は誰?

マンチェスター・シティのダビド・シルバです。彼がバレンシアにいるころから好きでした。ついこないだ、スペインのスタジアムで観戦したんですが、生のダビド・シルバを見て改めて衝撃を感じました。自分の中では理想で、目指している選手です。

ちなみに、ヨーロッパで名の知られている選手は中田英寿さんですね。日本人選手の中では、彼を最もリスペクトしています。ヨーロッパでも彼の名前は浸透していて、引退後もよく知られた名選手の扱いですよ。


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※第3回に続きます。

※過去記事一覧はこちら
第1回:【東城翔也のポルトガルリーグ奮闘記】 サッカーが上手いだけではブラジルでプロになれない
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<東城翔也プロフィール>

東京都板橋区出身。幼稚園の頃から2人の兄の影響でサッカーを始める。高校2年生の時、日本遠征へきていたブラジルリオデジャネイロ州1部フリブルゲンセからオファーを受け、ブラジルへの留学を決める。そして、当時通っていた全日制の高校からKTCに転入。当時17歳であった事からプロ契約ができなかったため、U-23チームで公式戦などに出場していた。2015年1月にポルトガル1部リーグのCS Marítimoに移籍し、より高いステージへと進んだ。

<マリティモの情報はこちら>

公式サイト http://www.csmaritimo.pt/
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