メンタリスト大儀見さんに心のトレーニングを教わった ーメンタルの鍛え方にマニュアルは無し!黙々と数をこなすべしー

スポーツをやっている選手なら、指導者から「気合で乗り切れ」とか「根性で戦え」という言葉を一度や二度は聞かされてたことがあると思います。

スポーツに強いメンタルが必要なのは議論の余地が無いですが、「自分のメンタルを鍛えるにはどうすればいいのか」、「正しく自己分析法するには何をすればいいのか」を知っている人はごくわずか。

スポーツ心理学に基づく「メンタルトレーニング」理論をベースとし、目標設定、集中力アップ、コミュニケーション、チームビルディング等をテーマに年間250本の講演活動を行う、株式会社メンタリスタ代表の大儀見浩介さんに、メンタルトレーニングとはどんなものなのかを教えていただきました。
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スポーツメンタルトレーニングを現場で指導できる人がまだ少ない?

スポーツのバックグラウンドがあって、その上でメンタルトレーニングもできる人は少ないです。日本でも数百人はいるかと思いますが、その8割前後がいわゆる研究者の方々。統計処理や分析といった学術的領域で活動されていらっしゃる方が大半です。

ただ、日本はメンタルトレーニングよりは、メンタルヘルスに比重があります。私のように、メンタルトレーニングを現場で指導したり、フィードバックすることのできる指導者は少ないと思います。そういう意味では、需要と共有のバランスが取れていないとも言えます。

気合と根性論がまだ残っている?

気合と根性論はまだ根深く残っているのは事実ですが、「メンタルトレーニング」という単語そのものはかなり浸透してきたと感じます。しかし、メンタルトレーニングと聞くと誤解される方もいらっしゃって、「私に暗示をかけられるんじゃないか?」と不安がられてしまうこともあります(笑)。

何歳からでも心を鍛えることはできる?

できます。年齢は関係ありません。自分で自己診断する方法もあります。
株式会社トーヨーフィジカルから出されている心理テストで診断できますよ。

どんなテスト?

スポーツの試合場面について52個の質問を順々に読み、マークシートへ答えを記入していくスタイルで、「心理的競技能力診断検査(DIPCA.3) 」と呼ばれています。中学生から社会人のアスリートが対象です。

心のパフォーマンスを、12項目にわたって仔細にテストできるもので、九州大学の名誉教授らによって作られました。ちなみに12の項目とは以下のとおり。

「忍耐力」、「闘争心」、「自己実現意欲」、「勝利意欲」、「自己コントロール能力」、「リラックス能力」、「集中力」、「自信」、「決断力」、「予測力」、「判断力」、「協調性」

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心理的競技能力診断検査で自分の心の弱点がわかる?

わかります。結果を見ればその場でフィードバックできます。何処が強いか、あるいは弱いかが一目瞭然になります。

たとえば、

・本番で強いけど、やる気は低く、練習で手を抜く傾向のある選手
・やる気はあっても、考えすぎたり情報を集めすぎて、実力を発揮できない選手
・決断力はあって闘争心も旺盛だけど、勢いだけで考えが浅い選手

等です。

ただ、結果を診断してフィードバックできる能力がある人が少ないんですね。カンのいい選手はあるていどひとりでテストを受け、自己診断できるけれど、それも限界がありますね。一人ですべてをこなすのは難しいです。そもそも自分で自分の弱点をわかっていない選手が多いですよ。

12個のうち、どれかの項目が優れていれば良い?

いいえ、12項目のどれか一つだけが優れていればよいというものでもありません。イメージとしては、バランスの取れた円にしていくかんじです。だれしも長所はありますから、長所を軸に弱点を強化していくのがよいでしょう。協調性があるなら、そこをベースに足りない部分を成長させていくとか、ですね。

これもひとつの例ですが、「コミュニケーション能力が高い=おしゃべりがうまい人」ってイメージがありますが、じつはそう単純な話でもなくって、無口でも聞く力は優れている選手もいるし、観察力が高い選手もいます。無口でもコミュニケーション能力が高いという場合もあるんです。

ただ、試合の中で、声を出すべき場面で声を出せないのであれば、不足している「闘争心」を鍛えていくことで円に近づけていくわけですね。

心のトレーニングにマニュアルは無いんです。唯一絶対な解もありません。こればかりは、数をこなさなくては身につかないものです。
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株式会社メンタリスタ
http://www.mentalista.jp/
代表取締役 大儀見 浩介
スポーツ心理学に基づく「メンタルトレーニング」理論をベースとし、目標設定、集中力アップ、コミュニケーション、チームビルディング等をテーマに年間250本の講演活動を行う。
スポーツの現場や教員・生徒向けの教育メンタルトレーニング、 子どもを持つ親、ビジネスパーソンなど幅広い世代を対象とする講演は歯切れのよい語り口と爽やかな笑顔で絶大な人気を誇る。2011年、なでしこジャパンのFW大儀見(旧姓・永里)優季選手と結婚。ドイツと日本の遠距離生活のなかで毎日対話を重ね、優季選手は心技体のバランスが向上し、ロンドン五輪で3試合連続ゴールをマーク。日本サッカー史上初の銀メダル獲得の立役者となった妻を、一番近くでサポートしてきた。