【春日部ゴワつき奮闘記】ポルトガルの大会で3位を獲得したことをコーチはどう捉えているか?

アスリート向けの自己管理アプリ「アスリートストーリーズ」を使ってくれているサッカーチーム、FC Gois がポルトガル遠征をしてきたお話の続きです。

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春日部のGoisってサッカークラブがポルトガルのサッカー大会に出場し、ベンフィカ、モナコ、ポルトに3連勝して大会で3位を獲得してきた話
https://athletestories.jp/blog/2015/05/20150525-1-FC-Gois-15-kasukabe-Rep%C3%BAblicaPortuguesa.html
ベンフィカやモナコ等の有名海外クラブ下部組織も多数出場した大会だったので、アスリートストーリーズブログ事務局としても正直、「フルボッコの全敗で帰国もあり得るわな」って思っていたのですが、3位を獲得(24チーム参加中)するという大健闘。まじか。
帯同した中村監督の視点で大会を振り返ってもらいましょう。

GOISは2チーム体制で出場しましたが、どちらのチームを監督したんですか?

チーム分けはメンタルの強い、弱いで分けました。技術の差はほぼないです。僕はメンタルが強いほうのチームを率いました。

どうやって初戦に挑んだのですか?

負ける気持ちでポルトガルまで来ていません。それは僕も、選手らも。試合前も「遊びでポルトガルまで来たわけんじゃない。多くの人たちのサポートのおかげでここにいられるんだ」と再確認させあってピッチに送り出しました。

1試合目(ベンフィカ戦)はすごくいい入り方ができました。ゆったりしたボール回しをしてきた相手にこっちはハイプレスを仕掛けたらハマりました。こっちも「やってやるぞ」って気持ちの昂ぶりのあったってのもありますけど、ガツンといってやったわけです。相手はあきらかに面食らっていました。そこで選手らも「いけるぞ」って手応えをつかんだようです。

メンタルを含めたコンディションがピークにあった?

ええ、メンタル、フィジカル、どっちも1試合めにもってきました。カンタンには負けられないって気持ちがありましたからね。1、2試合目はがむしゃらでした。選手はいつも以上に走っていました。1日目がすべての試合の中でベストコンディションで戦えたと思います。

でも、ここはひとつのステップにすぎないとも思っています。「ここでビビるようならプロには届かない」とも伝えました。

足元の技術の差はどれくらいあります?

身内を褒めるのもなんだけど、GOISは足元の技術は相当あります。GOISに限らず、U13年代あたりだと日本は強いんです。横河武蔵野FCのU12はダノンネーションズカップで優勝しましたしね。
http://danonecup.jp/brazil2014/

海外トッププロの下部組織ってどの程度強いですか?

モナコ、ベンフィカ、ポルトに勝てましたが、もう1回やったら勝てるどうか......というのも、向こうはGOISをナメていましたから。とくに、モナコには次やったら勝てないと思います。相手は我々にハイプレッシャーをかけられて驚いてたんですが、たぶん経験したことのない圧を感じたはず。それがうまくハマってショートカウンターから攻めて得点できました。日本のサッカーはせっかちでタテに速いのが特徴なんですが、対策を打たれたら封じられるでしょうね。

試合前、どんな戦い方を想定していましたか?

対戦相手を試合前に観察して、各ポジションにどんな選手が入るかは頭に入れておきました。こっちは研究してから試合に入れたのですが、敵はこちらの試合を見ずに対戦しました。この時点で一歩リードしたたわけです。

ポジションも試合ごとに毎回いじりました。たとえばマリティモは格上だったので、CBに本職のエースを置いて攻撃を封じたんです。あと、モナコには一人規格外のすごいのがいました。ただ、一対一ではボールを奪えなくても、複数でしつこく追い回せば封じ込めるって踏んで、CBのエースを中盤に置いて、そいつにマッチアップさせました。これもうまくいきました。

7人制サッカーってどう闘うのが定石なんですか?

7人制サッカーは、11人制に比べてスペースがすごくあります。空いたスペースをどう利用するか、創りだすか。つまり、指導者の戦術理解度に大きく左右されるわけです。戦術的に戦わなくちゃダメです。ただ試合してたのでは勝てません。

GOISは「3-1-2」を採用しました。「2-3-1」だと真ん中の「3」の両サイドバックの走る距離が中途半端に短くて、相手のマークにあいやすいんです。だから裏のスペースをとりにくいのです。「3-1-2」だとサイドバックの走る距離が増えるぶん、相手はマークしずらくて見失ってくれるのです。ボールのある逆サイドのマーカーが疎かにしてくれます。こちらは真ん中の「1」に裏にノールックでボールを出せるパサーを置いたのもよかったです。7人制はあまり経験がないのですが、戦術上の勝負ができて楽しかったですね。
その代わり、サイドバックの走行距離が伸びるから、大変ではありました(笑)。まあ、7人制はフットサルのように自由に制限なく選手交代させることができましたから、頻繁に交代させました。

マリティモとは2回対戦して、2回負けたんですね?

マリティモはむちゃくちゃ強かったです。言い訳するつもりはないのですが、マリティモは前後半で全員を全員変えてくるだけの選手層があって、常にフレッシュな状態で戦えていました。しかしこちらはそこまでの選手層はありません。だから後半にいっきに畳み掛けられてしまったんです。我々も同数の選手がいれば、もうちょっと食い下がれた気もするのですが......。

日本チームとしてどう受け入れられましたか?

日本人のハードワークには外国人関係者も驚いていました。それは強烈に印象づけられたはずです。GOISが試合に勝ったとき、喜ぶ余裕もないほど疲れきっていたんです。「わーい」と抱き合う力もないほどに。能力を出しきるって、簡単そうでそうでもないです。ファールもいっぱい受けましたけど、誰も心が折れまぜんでした。そんな姿が私には美しく見えました。

対戦前は、ナメられてたのでは?

ええ、「どうせ早々に敗退するんじゃねーの」って目で見られていたと思います。でも、結果を出すと認めてくれるチームが増え、コミュニケーションとってくるんですね。認められたなって思えて、うれしかったです。

プロの下部チームの指導者はかなりプライドを傷つけられたはずです。あっちも試合中にチームをいじってきましたが、私もそれは想定して3パターンほど戦い方をチームに渡しておきました。で、選手は試合中に私の指示を待つことなく自発的に戦い方を修正してくれました。「お、監督の話してたとおりの展開だぞ」って思いながら戦ってくれたようです。

試合時間は何分?

15分ハーフです。この試合時間の短さも効いていて、建てなおす余裕が無いんです。試合の入り方がよくないと、そのままズルズルいってしまいます。そういう意味では先手必勝できました。ただ、3位決定戦で試合会場がプロチームの本拠スタジアムにかわって、しかも大観衆。このアウェーな雰囲気に選手は飲まれてしまいました。。

PKで勝って3位になったんですね

0-2から同点に追いついて、最後はPK戦で勝てました。この結果はちょうど良かったんじゃないかって思っています。仮に優勝してたら天狗になったかもしれないですし、トラウマになるような大敗もしませんでした。いい自信を得ることができたんじゃないかって思います。



この結果を得られたのは、「信じる力」がチームに芽生えたからだと思うんです。リスペクトしあう力って言い換えてもいいかもしれません。0-2で負けていても、「あわわわ、どうしよう」って慌てていなかったですし、追いつけるって自信がありました。選手もそんな面をしていました。自分の力を信じ、仲間も信じる力ってのはすごく大事なんです。強引な言い方になりますけど、リスペクトする力があれば勝てます。逆になければいくら個々の能力が高くても勝てないくらいに思っています。選手らには、ポルトガル遠征をこれからの成長の糧にしてほしいですね。
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FC Gois 春日部U-15
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